平成19年度 地域活性化研究 一覧(高等教育機関五十音順)
※研究報告書をご覧になりたい場合は,事務局へご連絡ください。
  1. ブロードバンド無線ネットワークを用いた簡易型災害時無線通信システムに関する調査研
    • 海上保安大学校 金城 繁徳(海上保安大学校海事工学講座准教授)外1名
    • 呉地域は,山間部や島に囲まれた集落が多く,大地震などの自然災害時に電話回線等のライフラインが寸断され被災状況の情報収集や被災地への情報提供が困難になる可能性が高い。そのような状況において,気軽に臨時のブロードバンド通信ネットワークを構築できれば,被災地からの情報を音声通話のみならず,動画によってリアルタイムで情報を得ることが可能になり,またインターネット接続環境の提供によって,被災地への情報提供も行うことができる。本調査研究では,呉地域に適した,災害時の簡易的な無線ブロードバンドネットワークの包括的な構築方法を検討し,具体的なシステム構成等の提言を行うことを目的とする。
  2. 呉市のユニバーサルデザイン都市化と施設・交通のバリアフリー化に関する調査研究
    • 近畿大学工学部 松田 博幸(近畿大学工学部准教授)外3名
    • 呉市は,長期総合計画の基本計画の一つとして「いきいき健康福祉都市」をめざし,「ハーティポリスの推進」を都市づくりの基本戦略としてあげ,その中で,バリアフリーのまちづくり,ユニバーサルデザイン都市化を目標としている。本研究の目的は,一昨年の研究により,呉市の観光・宿泊施設や道路についてバリアフリー(BF)・ユニバーサルデザイン(UD)の現状と問題点を把握したことに引き続き,呉駅を中心とした地域及び市中心部の施設(商業施設等)・交通(交通機関・道路等)について,BF・UDの現状と問題点を把握し,呉市民や呉市を訪問する人々の誰もが,安全に自由に諸施設等を利用できる方策を検討し,観光振興等呉市の地域活性化のための基礎資料を得るものである。
  3. 呉のものづくりを支える特殊溶接技能伝承のための知識データベースの構築
    • 呉工業高等専門学校 岩本 英久(呉工業高等専門学校機械工学科准教授)外4名
    • 特殊溶接技能は,戦艦大和を建造した呉のものづくり力の一つである。この技能を有する熟練技能者はすでに70歳を超えて高齢になっている。現在でも特殊な依頼品があれば,何でも溶接で引っ付けている。これらの技能や知識はすべて熟練技能者の頭脳の中にあり,形式化できていないのが現状である。早急に熟練技能者の知識と経験をデータベースにする必要があると考える。若手の技術者に伝えるためにも,特殊溶接技能に関する知識データベースを構築し,呉のものづくり力を伝承したい。
  4. 豪雨による斜面災害要因の経年分析と斜面崩壊危険予測に関する研究
    • 呉工業高等専門学校 山岡 俊一(呉工業高等専門学校環境都市工学科助教)外3名
    • 本研究では,呉市は平地が少ないため,山すそから斜面に向かって住宅が建ち並び,住宅の裏手が崖になっていたり,山の斜面が迫っていたりするケースが多い。また,呉市の山の斜面には,花崗岩が風化した大変もろい「まさ土」が堆積しており,大量の雨が降ると土石流や崖崩れが頻繁に発生している。そこで本研究では,過去に呉市において豪雨による斜面災害が発生した昭和42年,60年,平成11年の各種災害調査データ及び現地における簡易コーン貫入試験や視察調査等の追加調査を実施し,斜面災害への影響要因を明らかにする。そして,斜面崩壊危険度分布図の作成を目指す。
  5. 健康的なライフサイクル推進のための取り組み
    • 呉大学 佐々木 秀美(呉大学看護学部教授)外8名
    • 平成16年度から本助成を受けたことを契機に,毎年,骨密度の測定を阿賀プラザで実施している。これまでに3000人以上の地域住民の骨密度を測定してきた。骨密度とは,骨の単位面積当たりの骨ミネラル量と骨量で規定されたものであり,栄養・食生活,身体活動・運動の成果は,骨密度の測定によって示唆が得られる。つまり,骨密度が一定の水準を保っているということは,人々が健康に関心をもち,日常生活における食生活や運動が適切に行われていることを意味する。本研究では,これまで測定した地域住民の骨密度測定状況報告並びに平成19年度実施予定の骨密度測定及び健康相談の結果を検討し報告するものである。
  6. 呉市の斜面崩壊箇所の安全性調査に関する研究
    • 広島工業大学 島 重章(広島工業大学工学部教授)外5名
    • 近年の気象災害や地震災害は,連続的に呉市の地域的特性である急斜面の崩壊を各所に多発し,多大な被害を発生させた。このような災害の調査は,現地における確認のもとにハザードマップが作成され,今後の対策に利用されるものの,人的作業による限界が生じる。そこで本研究は,呉市の広域災害を明らかにし,人工衛星データを用いた広域情報による地盤情報データの収集作成を行う。ここでは,人工衛星データから作成した新たなハザードマップを基に危険度予測を行い,災害によって発生した斜面崩壊箇所とその周辺地域における今後の安全性について比較検討するものである。
  7. 呉市に存在する国立公園の環境資源価値の診断評価に関する研究
    • 広島工業大学 上嶋 英機(広島工業大学環境学部教授)外5名
    • 呉市は広域合併を果たし,これにより広域な海域と瀬戸内海で一番長い300qの海岸線を持つ市となった。特に瀬戸内海国立公園の陸域指定公園サイトを多く保有し,「野呂山」,「休山」,「桂浜」,「室尾」,「鹿島」,「御手洗」の6サイトの公園を持つこととなった。美しい島嶼部の自然環境と景観を後生に継続することが呉市にとって重要な課題であるが,国立公園設立後70年以上を経過した今日,公園内の自然環境や景観の価値,そして活用状況の実態は不明である。そこで,呉市の6サイトの国立公園の環境調査を実施し,評価診断を行うものである。
  8. 暮らしやすさからみる呉市の生活関連施設の現状と整備対策
    • 広島国際大学 梅 林(広島国際大学工学部専任講師)外4名
    • 都市の活性化を考える際,商店街の再生や観光産業の推進など表向きの方策だけでは,「ゆうゆう快適文化都市」づくりはなしえない。呉市の持続的発展と快適な居住者の生活をいかに向上できるかを「暮らし」という都市の基本的な視点において,生活の質の向上を目指す生活関連施設や教育・文化関連施設,医療・福祉施設の充実や利用のしやすさ,そして「住」としての利便性や快適性を満たした魅力的な都市としての理想的構造の形成とその指標の提示を探っていきたいと考えている。
  9. 幼児・高齢者に効果的な世代間交流プログラムの検討
    • 広島大学 七木田 敦(広島大学大学院教育学研究科教授)外6名
    • 本年度は,昨年の研究の成果を踏まえ,幼児と高齢者にとって,より効果的な世代間交流プログラムを策定することを目標とし,具体的プログラムの立案,実施,検討(評価)を行う。従来の世代間交流では,幼児のみが主導的に関わり,身体的に自由度の少ない高齢者は受動的な参加にとどまっていた。その一方で,近年高齢者施設のレクリエーション・プログラムが高齢者の「楽しみ」や「生きがい」を高めるものとして注目されている。本研究では,レクリエーションという概念を軸に,幼児と高齢者がともに主体的に関わることができる世代間交流プログラムを検討する。
平成19年度地域活性化研究